平成30年度採択事業者 インタビュー

2019年10月作成

BioARC株式会社

BioARC株式会社

創業直後のベンチャー企業が成長するプログラム

BioARC株式会社

最適な専門家を紹介

――AMDAPの支援のよかったところは何でしょうか。

私たちの会社は、2018年3月に起業したばかりで、医療機器開発の専門家はいませんでした。そのような状況の私たちを、医療機器の研究開発マネジメントに精通した方が「カタライザー」として進捗状況を把握し、必要なことについて先々を見ながらサポートしてくれました。

困ったことがあっても、どんな専門家に相談したらいいのか分からないわけですが、それを客観的に見ていただき、状況に合う専門家の方を紹介いただいたりしています。

カタライザーの方に「ここはやりましたか」と聴かれ「すいません、それはどういうことでしょうか。まだ認識がありませんでした」という返事をこちらがしたときに、「それなら、○○分野の専門家、たとえば、○○さんや○○さんに会った方がいいですね。そこで相談できるようにしましょう」という助言と調整をしていただけました。

フットワークよく寄り添ってくれる

――カタライザーの知識と経験が役に立っているわけですね。

たとえば、QMS(Quality Management System)の構築だけでもコンサルティングをおこなう会社がたくさんあります。

そうした会社のリストを作って、1社ずつ連絡して日程調整し、相談をすることはとても大変です。会って話をするコンサルタントが私たちの開発する医療機器を得意分野としているかどうか、あたりはずれもあると思います。

また、お会いした方と契約しなければいけないのか、そこに決めなければいけないのか。面談の時間に対して何らかの支払いが発生するのか。このような心配も先立ってしまい、仕事のスピードが遅くなるのだと思います。

医療機器といっても、いわゆる機械ものだけでなく、薬に近いもの、IT・ソフトウェアまで色々あります。私たちが開発している高分子素材について相性のいい方を探すのは、本来なら時間もかかるし労力もかかるわけです。

それをカタライザーの方に相談すると、ご自身の経験から判断されて、専門分野で対応いただけそうなコンサルタントの方を見立てて、事務局と協力しながら専門家として相談できるように調整していただけます。それに合わせて動けば間違いありませんし、相談費用もAMDAPの規定に基づいてAMDAPで対応いただけますので出費の心配もしなくていい。相談をしたからといって契約は結ばなくてもいい、ということも当たり前ですが実感しました。

カタライザーの方に「どこの弁護士さんに相談していいか、選ぶ基準が分からなくて困っている」と相談をすると、「AMDAPに登録されている専門家の中に何人かいらっしゃるので、相談の手続きを取りましょう」とすぐにご返事いただき、4つの特許事務所および2つの弁護士事務所と会わせていただくことができました。

助成事業が始まってすぐのころ、医療機器製造販売業の業許可申請についての疑問事項がいろいろと出てきたのですが、その際にカタライザーの方は「都の医療機器監視課に、まずは行ってみようよ。私も一緒に行くから」と、あっさり言ってくださいました。この「一緒に行くから」というひと言で、とても安心感をもちましたし、「こんなにフットワークが軽いのか」という驚きがありました。

支援システムに組み込まれたNDA契約

――秘密保持契約についても助かったことがあるそうですね。

AMDAPに登録された専門家は、AMDAP事務局との間でNDA(秘密保持契約)が締結されていますので、AMDAPに登録された専門家に相談する際にはNDAなどを新たに結ぶ必要がなく、とても助かっています。

AMDAPに登録されていない専門家(特許事務所、専門家、コンサルタント)や連携候補となる大企業と話をするときには、当然、新たにNDAを結びます。

大企業と話をする際など、先方のNDAは当方に不利な内容になっている可能性もあります。カタライザーの方が「自分たちからひな型を提示し、これでNDAを結べるよう話をしましょう」という助言をしてくれました。じつは、このことをあまり意識できていませんでした。あと戻りできないことですので、タイミングよく言っていただけて本当に助かりました。

ベンチャーキャピタルと事前に会う

――投資に関しての助言はどのようなものでしたか。

専門家の方からは、銀行から融資を受けることと投資家から投資してもらうこととの違いやそれぞれの留意事項、さらには「投資家との相談に向けて、こういうところを強化する必要がある」といったアドバイスをいただきました。

ベンチャーキャピタルとの面談については、「投資してください」と相談するための面談がアレンジされるのではなく、そうした面談に先立ち、ベンチャーキャピタルの方から事業面や経営面でのご助言をいただく面談を事務局がアレンジしてくれました。

緩急をつけた支援

――必要なタイミングに必要な支援が受けられたということですね。

AMDAPの支援ではカタライザーや専門家との相談をおこなえますが、決められた回数になるまで好きなタイミングで使うことができます。

専門家との相談は年間で36回おこなえますが、2019年の私たちはその大半を前半で使っています。とくに2019年の5~6月は、ひとりの専門家に3コマ連続して相談させていただくなど濃かったですね。このとき、QMSの整備について集中的に学びました。「まずはしっかり学び、次の段階では開発に集中する」という緩急をつけたわけです。

カタライザーの方と相談しながら、開発フェーズや進捗具合に応じて、“必要な段階で必要な支援を使う”という判断をしています。

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